2016年5月25日水曜日

19 大般若経

2016/06/17 (公開)

19  大般若経


引用    "大般若経に云く「般若を謗ずる者は十方の大阿鼻地獄に堕つべし


書簡    顕謗法抄  101


先ず日蓮聖人が大般若経として引用する経は 大般若波羅蜜多經 (No. 0220)です。

しかし大般若波羅蜜多經ばかりかではなく、般若部には「大阿鼻地獄」の言葉がありません。

般若と阿鼻地獄のセットから、強いて言えばですが、この言葉は、大智度論 (1509) .25.0502b18ページ~: 

問曰。舍利弗何以言五逆罪 與破法罪相似。答曰。舍利弗。是聲聞人常聞五逆罪最重墮阿鼻地獄一劫受苦。聲聞人不悉知供養般若得大果報。又不知謗毀般若得大罪故"

辺りからアレンジされた物と、考えられるかも知れません、 大智度論には「毀謗般若者」が「墮阿鼻地獄」となるとは直接的な記述はありませんので、 引用の文は捏造文とかんがえます。

日蓮聖人は 何か般若経の参考書から引いたのかも知れませんが、その元は不明です。

「墮阿鼻地獄」の言葉は、主に涅槃経と大集経に多くみられますが、前後を読むとどれも般若を謗ずる者との関係を顕す文章ではありませんので 評価は X です。




引用    大般若経に云く「若し菩薩設い恒河沙劫に妙なる五欲を受くるとも菩薩戒に於ては猶犯と名けずと」


書簡    一代聖教大意  102


大般若経の経文は 「若諸菩薩安住居家受妙五欲」 です

何処から「恒河沙劫」 などという勝手なアレンジが出て來るのか不思議ですので調べました。

恒河沙劫に五欲を受く、の言葉は次の2経に見られます。

佛説決定毘尼經 (0325) 12.0040a28~: 菩薩乘人於恒河沙劫受五欲樂遊戲自在受諸樂受諸樂已。未曾捐捨發菩提心

大乘修行菩薩行門諸經要集 (0847) 17.0943b24:  菩薩喩若恒河沙劫雖受五欲快樂 
菩提心無暫捨。 當知是菩薩戒行無缺。

二経とも菩薩はけして堕落しないと言っているのですが、恒河沙劫は 上記のどれかからの影響だと思われます。

いずれにしても大般若経の言葉ではありません。 

経文を勝手にアレンジ(捏造)した参考書を創る輩が悪いのでしょうか。  それとも意味が合っていれば、何をしてもよいのでしょか。
自分はオリジナルを変更するのは 良くないと事と観ていますので X  と判定します。




引用    大般若経に云く「若し菩薩設い恒河沙劫に妙の五欲を受くるとも 菩薩戒に於ては猶犯と名けず 若し一念二乗の心を起さば即ち名けて犯と為す」文、


書簡    十法界明因果抄  103


前記の例文を少し長く引用したものですので、評価は同じ理由で X ですが、 更に  
「不名猶犯」  の言葉も経文には存在しません。 

猶犯とは 犯に類するもの という意味かと思いますが、この言葉は、「佛説太子慕魄經」 に一度だけ登場するだけで、非常に珍しい言葉です。 

また一念二乗とは具体的にどのような事を意味するのかは自分は分かりませんが、華厳経の文からも良くない事である様です。


  




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